このエントリーでは、キャリアコンサルタント面接試験及び実務で役立つ知識として、薬剤師と保育士の現状比較と、保育の今後を解説しています。

薬剤師と保育士の給与の話題

ちなみに、10年ほど前にも、電車の中で「5年働いて手取り15万円もないし、昇給ほとんどない」と保育士と思われる方の話し声が聞こえてきたことがあります。

地域的な違いはあると思いますが、保育士は10年前より給与水準が下がっている可能性もありますね。

保育で働くだけなら、資格が不要になる?

女性の社会進出を推進するには、保育士の待遇改善もセットで行わなければ、保育の担い手が減ってしまいます。

しかし国(厚生労働省)は、待遇改善ではなく、「保育を担う人材の要件」を変えることで、保育の担い手を増やそうとしているようです。

例えば、下記のような「補助」的な働き方が挙げられます。

・保育補助
・家庭的保育補助
・子育て支援員

これらの場合、保育士資格は不要です。

キャリコン試験対策として保育を考える:「やりたいこと志向」

キャリアコンサルタント試験及び実務知識としては、「保育士だけ」が保育に関わる働き方ではないということは、押さえておく必要があります。

それは「その人が本当に実現したい『在り方』は何かを考えることが、キャリアコンサルタントの支援において、もっとも重要な役割だからです。

クライエントがやりたいことを語ることや夢を持つこと自体は、職業的な自己概念の一部を形成するものであり、キャリア形成上も重要なことである。相談場面で大切なことは、①やりたいことを追求するあまり、非現実的になっていないかを点検すること、②やりたいことの根底にある本質的な欲求を明確にすること、③クライエント自身に現実的な選択を検討させること、である。

非現実的になっていないかを点検する視点として、シャイン(Schein)が挙げた自己概念の3つの側面であるWill(やりたいこと)、Must(すべきこと)、Can(できること)を用いると良い。現実検討で注目すべきなのは、MustとCanである。つまり、やりたいことを実現するうえで求められる役割・責任・労働条件などの職務要件を理解し、それを引き受けるだけの準備ができているか。また、やりたいことを実現するだけの技能・スキル・知識を習得し、それを実行できる自信を持っているかである。この点をひとつひとつ確認し、不十分な点について、今後どのようにしていくかをクライエントとともに検討・計画していく必要がある。

やりたいことの本質的な欲求とはWillに相当する。やりたいことが具体的な職業名として表現される場合があるが、その根底にある本質的な欲求を見ていく必要がある。

たとえば、「ファッション・デザイナー」になりたい人は、その職業でなければならないのではなく、たとえば「オリジナルを創造する」という欲求が重要なのである。この場合、ファッション・デザイナーだけでなく、オリジナルを創造できる企画・開発職も選択肢になりえる。本質的な欲求まで掘り下げて自覚することによって新しい選択肢が見えてくるのである。

(出典 新時代のキャリアコンサルティング─キャリア理論・カウンセリング理論の現在と未来 労働政策研究・研修機構)

「ファッション・デザイナー」を、「保育士」に入れ替えて考えてみると、「保育士資格を持っておらず、保育の仕事ができないと考えているクライエント」の自己実現可能性が広がります。