キャリ魂太郎です。
このエントリーでは、「話さないクライエント役はあまりいない」ということについて、解説しています。
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一部の養成講座では、「クライエント役は話さない」と指導することがある。
私の通った養成講座でもそうでしたが、一部の養成講座では、「(試験での)クライエント役は話さないから、クライエント役をするときは、あまり話さないようにしなさい」と指導していることがあります。
実はこれは、試験対策としても、実務的にも、それほど意味があるわけではありません。
キャリアコンサルティング協議会のクライエント役の多くは、話してくれるクライエント役である。
明日3月2日、3日はキャリアコンサルティング協議会の面接ロールプレイ試験です。
JCDAはさておき、このキャリアコンサルティング協議会での面接試験では、大抵のクライエント役は、しっかりと話してくれます。
それどころか、2級技能検定試験では、「話過ぎる」クライエント役が、キャリアコンサルタント役をかき回すといったことさえあるくらいです。
なぜ、クライエント役は「話してくれる」のでしょうか。
話さないクライエント練習があまり意味がない理由
クライエント役が、普通に話してくれる理由には、下記のようなものがあります。
1.キャリアコンサルタント役は、(協議会試験上)外部支援機関と設定されており、クライエント役は「自ら」訪れている。
2.通常、自発的に来たクライエントが話さないことはありえない。
3.国家資格キャリアコンサルタントレベルでは、「話さないクライエント役への対応」よりも、標準的なクライエント役に対して、標準的なキャリアコンサルタント役ができるかを評価する方が試験的に意義がある。
4.一部の受験生に対してのみ、「話さないクライエント役」を設定すると、試験として不公平となる。
いかがでしょうか。
このように考えれば、「話さないクライエント役」が国家資格キャリアコンサルタント試験で出題されることが自体、基本的にイレギュラーであることがご理解いただけるのではないでしょうか。
だって、考えてもみてください。
自分から来たのに話さない。普通そんな人はいないのです。
そんな「話さない相談者」が多いと思っている講師の方は、自らに「極端な一般化」という認知のゆがみが生じていることに気づいていないわけですね。
試験での設定は、実務でもほぼ同様である。
そして、実務であっても、基本的には「クライエントは自発的に訪れる」ことが多いわけです。
逆に言えば、強制的にキャリアコンサルティングを受けさせられているのは、
・親から言われて嫌々訪れた引きこもり(ニート)の方
・セルフ・キャリアドックの対象者である労働者や職業訓練の対象者である求職者
こういった方です。
このケースでは、自発的に話してくれないことも多いでしょう。
なぜならば「そもそも自分は悩んでいない」からです。
ニートを辞めさせたいのは親ですね。本人は今さらいわゆる一般的な労働者として働きたいなんて思っていないかもしれない。
セルフ・キャリアドックで設定された「節目」が、本人の悩みや迷いとリンクするとは限らない。
職業訓練を元々受けたいわけではなくて、雇用保険を延長したかっただけ。
だから、「迷いや悩みがある」と決めつけることのほうが問題ですよね。
まあ、セルフ・キャリアドックの場合は、「社長のスパイ」みたいに思われていることもありますが、守秘義務などをきちんと話せば、普通はそれで話してくれます。
話さないクライエント役は、不適切な試験官である。
いかがでしょうか。
そして、そもそも論なのですが、国家資格キャリアコンサルタント試験は、言わずと知れた「国家資格試験」です。
なのになぜ、「話すクライエント役」と「話さないクライエント役」が出題されるのでしょうか。
後者の方が圧倒的に不利であり、特に話さないクライエント役だからと言って、加点されているようなケースも聴いたことがありません。
一般論として、通常考えられるクライエント役を、通常考えられるように演技し、受験生がそういったクライエント役に対して、どのように対応するかを評価すればよいだけの話です。
いつまでも「話さないクライエント役」を出題しているようでは、不公平な試験という評価は免れません。
この点、これまで「話さないクライエント役」を演じた試験官は、その無意味さ、不公平さをもう一度考えてみて頂きたいと思います。
自分がそれをやられたら、どう思うだろうか。
このように相手の身になって考えることは、キャリアコンサルタント以前の「常識」です。
話さないクライエント役に対しては、暖かな声掛けを。
とはいえ、10%強は、話さないクライエント役も現実にいると感じますので、その際には暖かなまなざしで、落ち着いて…
「何か、お話にくいな、と感じられていらっしゃいますか?」
と声掛けをしてみましょう。
こういった「プロとしての落ち着いた対応」にもかかわらず、「別に」などと返ってくるようでは、それはクライエント役失格です。
試験になっていません。
そういう場合、キャリ魂塾では「不適切試験官報告書」を作成していますので、DLの上、ご報告ください。
協議会に、当該クライエント役試験官の今後の試験官委嘱の中止、そして全試験官への通常考えられるクライエント役の演技の徹底を通知するように、働きかけます。
それでは、明日明後日、そして来週末の面接ロールプレイ試験を受験される方、合格を心よりお祈り申し上げます!