キャリ魂太郎です。
このエントリーでは、いわゆる専門職ではない方の言葉として「勉強好きなんですね」「どうして資格をそんなに取るんですか?」について、述べています。
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「勉強がお好きなんですね」は「(趣味としての)旅行がお好きなんですね」とは違う。
私がこの17年間、嫌というほど聞いてきた言葉の一つが、「どうしてそんなに資格を取るんですか?」という言葉です。
この言葉は、発言する人に「相手の職業、置かれている状況を理解する力」がないことを意味しています。
「(職業上)必要だから取る」
という、シンプルなことが理解できていないわけですから。
なぜ「更新制度」があるのか
キャリアコンサルタント試験に合格した方、勉強中の方、よく考えてみてください。
この「キャリアコンサルタント資格試験に合格するために必要な知識」これだけで、十分に対人援助や環境介入業務ができると「本気で」思いますか?
キャリコン制度を作った厚労省も含め大多数の方がそんなことを「思っていない」から、「更新制度」があるわけです。
それを「金儲けのための更新制度だ」、「資格商法だ」と思うのは自由です。
しかし現実に、「養成講座修了レベル」では、十分ではないのです。
それは別に、キャリアコンサルタント養成講座に限った話ではありません。
大学院で学んだ修士レベルである臨床心理士ですら、「更新講習が必須」なのですから。
だから、「キャリアコンサルティング技能士」2級に合格していても、「登録していなければキャリアコンサルタント」ではないのです。
2級キャリアコンサルティング技能士であっても、その時点で技能検定が求める知識レベルと傾聴レベルをクリアして「いた」というだけです。
だから、2級キャリアコンサルティング技能検定に合格しても、「キャリアコンサルタント」と名乗りたければ「キャリアコンサルタント登録」をしなければならないのです。
「勉強が好き」だから勉強するのではない
勉強が好きだから勉強する、そういう人も当然いるでしょう。
しかし、「好き」で勉強するならば、「嫌い」になったらどうしますか?
そう、少なくとも「専門職」というキャリアを希望するのであれば、「好むと好まざるとにかかわらず」勉強をしなければならないのです。
労働法も、非常に複雑になっています。
例えば、「私の残業時間が正しく計算されているのかわからなくて…もしちゃんと計算されていなくて、お給料が間違っているならやめようかとも思うし…」
という相談者が来たら、あなたはどう対応するでしょうか。
これを「主訴」と呼ぶかどうかは別として、現時点で相談者が相談したいことは「残業時間計算が正確であり、それが給与として反映されていないならやめようかと思う」ですよね。
また、キャリアコンサルタントとして、相談者が相談したいこと(主訴)の把握だけでなく見立てが正確であることも当然大事です。
しかし、「主訴の把握・解決」もやはり大事なんです。
相談者が、タイムカードと給与明細を相談者が持ってきていたとしましょう。
あなたはそれを確認して「正しく給与が計算されているか」分かる自信がありますか?
私は無理だと答えます。
自信の有無にかかわらず、そもそも無理なのです。
その会社がどのような就業規則(賃金規定)に基づいて給与を計算しているのか、タイムカードと給与明細だけでは分からないからです。
適用されている変形労働時間制は?
その変形労働時間制が適用された初日は?
所定休日は?
法定休日は?
お勤めの会社は、大企業?それとも中小企業?
こういったことが分からないうちから、「残業代が正しく計算されているかどうか」なんて計算のしようがないのです。
試験的に言えば、見立てを「相談者の問題は、労働法を正しく理解しておらず、残業時間の計算が自分でできないことである」と見立てるということも十分あり得ます。
良くある言葉で言えば「魚を与えるより、釣り方を教える」ってやつですよね。
でも、その見立てに基づいた支援を相談者が喜ぶでしょうか?
そして、あなたは毎回毎回残業代の相談が来たら、相談者自身が勉強するんだと気づかせる、または手に負えないとリファーするんですか?
そんなキャリアコンサルタントなら、そりゃ食えるわけないと思われても仕方がないですよね。
(ただし、苦手分野を克服するよりも、得意分野で専門特化すればそれでも十分食えると思いますけどね)
だから、勉強するんです。
好むと好まざるとにかかわらず、それが我々の職責だからです。
あなたの選んだキャリアは、そういうキャリアです。
さて、最初の質問に戻りましょう。
「勉強がお好きなんですね」という言葉、相手の職業理解ができていれば、出てくる言葉でしょうか?
そして、「旅行がお好きなんですね」という言葉と一緒の意味で、相手が受け止めると思われますか?