第15回国家資格キャリアコンサルタント試験(以下「第15回論述試験」とします)では、第2回論述試験以来の出題形式変更が行われました。

この新試験について、キャリ魂塾としての模範解答と講評を行いましたので、受験生の皆様のご参考になりましたら幸いです。

なお、キャリ魂塾では、JCDA実技試験は一切考慮しておりませんので、ご了承ください。

第15回論述試験講評

この講評及び模範解答の作成に当たり、「出題形式変更があった」こと以外は、一切予備知識がない状態で、受験生と同じように取り組んでいます。

その上での講評、模範解答である点、ご承知おきください。

出題形式及び設問の変化について

大きな衝撃を持って迎えられた、国家資格キャリアコンサルタント論述試験の出題形式の変更。

しかし実は、第2回論述試験も第1回論述試験から、大きく変更されているんですね。

このときも今回と同じく、逐語形式と設問、この両方が変更されています。

逐語形式の変更

第2回~第14回、そして2級キャリアコンサルティング技能検定論述試験(以下「2級論述」)でも出題され続けてきた、逐語形式の出題が、大きく変更されました。

これにより、心理的なショックを受けた受験生がほとんど全員と言っても過言ではないと思います。

設問の変更

形式と設問、両方が変更されたわけですが、中身を見ていきたいと思います。

応答記述の削除

これまで設問1で出題されてきた、応答記述(空欄A補充)が削除されました。

率直に言えば、応答記述は5~8点は確実に取れる「サービス問題」であったため、このサービス問題が削除されたことは、受験生にとって非常にダメージが大きい部分です。

この1点を取り上げても、難化したと言えます。

設問1:「相談者の相談したいこと」

応答記述が削除され、新たに「相談者の相談したいこと」が出題されました。

これは、2級論述と同様であり、この点でも難化と言えます。

しかし、これまで面接ロールプレイ試験(以下「面接試験」)で問われてきた、「相談者が相談したいこと」と何ら変わりはなく、少なくとも口頭試問対策をきっちりと行ってきた受験生であれば、解答し得るリソースはあるはずです。

が、出題形式変更のショックが大きかった受験生は、そのリソースを十分に活用できなかったかもしれません。

設問2:キャリアコンサルタントの意図の推測

新たな出題として、「キャリアコンサルタントの『質問』の意図」が問われました。

今回の内容としては、「気持ちの確認」です。

受験生の多くが、(実は)苦手とする「気持ちの確認(深掘り)」。

これを「なぜ行うのか」。

基本的な内容でありながら、いざ問われると「と言われましても…」となりそうな、受験生レベルを考えると、難問ではあるのですが、同時に良問と言える出題です。

そして、キャリ魂塾の面接ロープレ試験対策講座を受講された方は、「タイムマネジメントシート」をご確認ください。

バッチリ記載されていますね☺

つまり「キャリアコンサルタント側から気持ちを問いかけること」が、協議会実技試験において重要視されていること、そしてキャリ魂塾の面接ロールプレイメソッドが協議会受験において、完全に正しいものであることが図らずも明らかになりました。

応答の意図を逐語で明らかにする例は、下記のエントリーでどうぞ(これらの逐語は、キャリ魂塾の「タイムマネジメントシート」に準拠しているため、当然「気持ちの確認」を行っていることが分かります。)


設問3:根拠を「言語化」して明示する

こちらは、第14回以前の設問2に当たる出題ですね。

設問2に引き続き、「根拠」を「具体的」に記述せよという出題から、キャリ魂塾での「根拠の言語化」という指導メソッドについても、試験機関である協議会の考えるキャリアコンサルティングと、完全に一致していると言えます。

それは、キャリ魂塾では口を酸っぱくして、毎回毎回うるさいほど「根拠」を「言語化」することを指導してきたからです。

根拠を言語化できないにもかかわらず、「クライエントは自己理解できていないと思います」と述べる受験生が、いかに相談者を自らの準拠枠で「決めつけている」か。

この点は、本サイトにおいても、まさに下記のエントリーでお伝えしているように「ほぼ100%、全ての受験生ができていないポイント」です。

(というか、もうこれ出題予想的中でも良いのでは…)

養成講習をただ修了しただけで、キャリ魂塾塾生のように「根拠の言語化」を指導されていない受験生の場合は、この「根拠の言語化」への対応に苦慮するであろうことは、想像に難くなく、この点でも難化と言えます。

そして、書き方(記述方法)が変更された点でも、混乱、戸惑いが生じることは避けられず、解答に苦労した受験生がほとんどだったのではないでしょうか。

設問4:今後の方針

設問4に関しては、従来設問3(2)とされてきた出題とほぼ変わりありません。

しかし、第14回以前が「7行」で解答を記述するのに対して、第15回論述では「6行」となり、この点は注意が必要です。

講評:明らかに難化し、面接ロールプレイ試験対策がより重要に

難易度の変化としては、明らかに難化しました。

そしてそれは、現行養成講習カリキュラムに内在する、大きく分ければ3つの問題が原因であると考えられます。

現行キャリアコンサルタント養成講習カリキュラムの問題

1.「見立ての言語化(根拠の明示)」を受講生に意識させることなく、面接ロールプレイを行ってきた※
2.逐語記録をただ作るだけではなく、しっかりと「自らの応答をどのような意図で行ったか」を説明できるように指導していない※
3.1.2.がこれまでのカリキュラムでは不十分である点について、養成講習機関の自己理解不足

※実務経験受験者の場合、それは自らの面接の見直しの問題です。

極論すれば、民間資格試験時代と何ら変わらず自らの方法論にこだわり、「国家資格者に必要な学習」について、養成講習機関相互の「標準化」ができていないという、全養成講習機関の問題が浮き彫りになった。

これが、今回の論述試験に対するキャリ魂塾の「見立て」です。

特に、塾生からの伝聞ではありますが、自らの独自理論がベスト(時には絶対)であると指導するような講師がいる養成講習機関もあると聞いています。

(キャリ魂塾は、「試験対策」においてベストと自負していますが、実務的には多様で自由なアプローチが大前提であり、ときには「一切聴かない」アプローチすら行います。)

そういった養成講習機関で学ぶことは、指定試験機関のどちらを選ぶ場合でも、また今後のキャリアコンサルティング実務でも、非常にリスクがあります。

面接・論述は「一体化」した指導がポイント

キャリ魂塾の面接・論述試験対策講座をどちらも受講された方は、私がキャリ魂塾メソッドは、論述も面接も同じ、論述が書ければ面接が上達し、面接が上達すれば論述が書ける」とお伝えしてきたことが、まさに今回の論述に合致していることが、改めて実感頂けたかと思います。

新傾向とは言え、キャリ魂塾メソッドをマスターし、落ち着いて(ここは難しいところですが)考えれば、「ああ、口頭試問で問われることを書くだけか」と気づくことができたのではないでしょうか。

受験生全体として見れば、設問2、3に関しては、言語化、根拠の明示に不慣れ、不得手、またそれが必要であることを知らない、といった受験生が多いことから、今後の論述試験対策は、より「面接(及び口頭試問)と一体化」したものが必要と考えます。

キャリ魂塾でも、面接・論述講座と分けるのではなく、「実技試験対策講座」とする必要性について、検討中です。

養成講習カリキュラムでは、手薄になりがちな重要ポイント

現行養成講習カリキュラムでは、下記の3つの重要ポイントが手薄になりがちです。

・要約
・根拠の言語化
・自らの応答の目的

養成講習での指導があまり行われていないこともあり、受験生の多くが苦手としているこの3つのポイントを、痛いぐらいに突いて(抉って)きた。

ある意味では、「協議会による現行カリキュラムへの不満」が現れていると感じます。

それが、協議会による面接ロールプレイの解説・実演提供開始という結果にも繋がっているのかもしれません。

普通に考えれば、養成講習を行わない協議会が、「キャリアコンサルティング」について口出しするのは、おかしなことであり、試験機関としての立場から考えれば「禁じ手」のはずです。

そのあたりは↓でどうぞ。

第15回論述試験:模範解答(設問4を除く)

模範解答を掲載しておきます。

なお、こちらはあくまで「受験生と同じ条件(初見、50分の制限時間、資料参照無し)」で作成したものであり、今後より精度を高め、変更を加えるものである点、ご了承をお願いいたします。

※11月4日、設問2の文末が空欄補充後の文言と重なるため、7文字削除しました。これにより文字数は93文字となります。

蛇足ですが、設問4を含め、全ての設問の解答に要した時間は25分19秒でした。

多少雑な字で書いたことを加味すれば、きちんと丁寧に書けば、50分ギリギリというところでしょうか。

第14回までの論述試験であれば、概ね40分で書き上げ、10分で書き写し時間まで含めてギリギリであるため、制限時間を含めて考えれば、是非はさておき、改めて熟練レベルとされる2級論述試験を上回る難度だと感じます。

そういう意味でも、繰り返しになりますが「面接ロールプレイ」「口頭試問」「逐語振り返り」の三位一体の学習が、今後は論述試験の成否を分けるポイントになってくると考えられます。

皆様の学習の一助になれば幸いです。

※著作権法に違反した、キャリ魂塾メソッドの漏洩が確認されたため、設問4の模範解答は、第15回論述試験対策講座及び面接試験対策講座受講生に限定し、別途お伝えいたします。

著作権法の遵守をお願いいたします。

今回、残念なことに、著作権法に違反し、キャリ魂塾メソッドの漏洩があったことが分かりました。

著作権法の違反は、1000万円以下の罰金、10年以下の懲役またはその併科に加え、キャリアコンサルタントとして信用失墜行為でもあり、資格停止・取消の恐れがあるほか、損害賠償請求を受けることもある、非常に重大な違法行為です。

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これらが判明した場合、著作権法違反の可能性があるため、オークション、フリマアプリ管理者に対して出品停止及び出品者情報の開示を請求します。

キャリ魂塾のリソースを、キャリコン受験生及び実務者、そしてクライエントに全集中したいと思っておりますので、くれぐれもこういった行為を行わないようにご協力をお願いいたします。

※RTは大歓迎です!☺