このエントリーでは、第20回国家資格キャリアコンサルタント論述試験(キャリアコンサルティング協議会を試験機関とするもの。キャリ魂塾ではJCDA実技試験は取り扱っておりません。)の設問1の解答例と解説を行っています。

設問1:解答例

相談者は洋服が好きで契約社員として男性ブランド洋服の販売職に就いた。しかしコロナ禍もあり、会社も業界も厳しいと感じる。
この仕事を続けても先が見通せないと思うものの、正社員として働いた経験もなく、今から正社員になれるのか、何が見つけられるのか、気持ちの整理がつかない。
(句読点含み134文字)

追記1:最後の「気持ちの整理がつかない」は「どうしたらよいか分からない」と記述しても、特に問題は無いものと考えています。
追記2:「男性ブランド」は割愛しても可。

※本解答例はあくまで「受験生と同じ状況(初見・制限時間)で解答した場合における、キャリ魂塾として考える一例」であり、今後設問を検討し、変更を行うことがあります。以上につきご了承をお願いいたします。

設問1:解答のポイント

相談者は洋服が好き契約社員として男性ブランド洋服の販売職に就いた。しかしコロナ禍もあり、会社も業界も厳しいと感じる。
この仕事を続けても先が見通せないと思うものの、正社員として働いた経験もなく、今から正社員になれるのか、何が見つけられるのか、気持ちの整理がつかない。(句読点含み134文字)

このアンダーラインで強調した部分は、「感情」や「その感情の元になっている事柄」や「その感情が影響した行動」です。

こういった、「相談者の感情」や「その感情の元になっている事柄」、「その感情が影響した行動」を中心に要約することが、設問1のポイントです。

また、句読点を含んで、130文字程度は記述することができます(あまり小さい字になると、採点者が読みづらくなるので注意)。

論述試験は、キーワード採点がメインと考えられるため、要約の中にどれだけキーワードを盛り込めるかも、頭の片隅には置いておきたいですね。

また、国家資格試験の論述は、2級の論述と比べても圧倒的に時間が足りないため、できるだけ一撃で書き上げることもポイントの一つです。

設問1:キャリ魂太郎の実際の解答と所要時間


こちらは、0.5㎜の普通のシャープペンシルで書いていますが、0.3㎜を使うと、より読みやすく書けるかと思います。

蛇足ですが、私は字が下手です。

言い訳をすると、それは小学生の頃に読んだ「燃えよ剣」で、「字の上手な奴にロクな奴はいない。字が上手いというのは、真似るのが上手ということだ。真似の上手い奴にロクなのはいない」(うろ覚えですがだいたいこんな感じ)という土方歳三の言葉に影響されたのが原因です。

これは間違いだと思いますね。字は上手い方が良いと思います笑

実際に解答に要した時間は、7分51秒でした。(消しゴムの跡が無いことでお分かりのように、推敲は一切せず一撃で書き上げています)

最後の「整理がつかない」は、ちょっとキレイに書き直した方が良いかなと思いますが💦

設問1にかけられる時間は、設問3や設問4などの記述を考えると、最大でも10分です。10分以内に書き上げられるような練習も重要になってきますね。

設問1は、実務でも重要な「要約」能力を測るもの

設問1のような「相談内容の要約」は、相談員として雇用された場合、ほとんどの職場で必要になる能力です。

私自身、厚生労働省の「こころの健康相談統一ダイヤル」の相談員や、「SNSカウンセリング」のスーパーバイザーをしていますが、この要約スキルは非常に重要だと日々感じています。

相談者との面談の中で、「キーワードを把握するスキル」としても必要なことはもちろんなのですが、組織で働くということを考えた場合でも、他の相談員への引継ぎや相談事例検討、また報告として相談傾向等を作成する場合のキーワード抽出の際にも「相談内容の重要ポイントを過不足なくまとめる」ことが求められます。

この要約スキル(ひいては求められる場面に応じた、適切な文章作成能力)は、一朝一夕で身につくものではありません。

キャリアコンサルタント・カウンセラーは「言葉のプロフェッショナル」であり、「言葉は心という海に浮かんだ氷山の一角」です。

苦手な方は、ぜひ新聞社説の要約など、地道な研鑽に取り組んで頂ければと思います。

第20回論述試験、キャリ魂塾論述模試からほぼ的中!

キャリ魂塾の論述模擬試験は、中高年、女性、若年者の3つの相談者属性から出題しており、第20回論述試験の出題は、概ね若年者の出題としては的中と言えるものだったと考えています。

実際に受験された方も、対応しやすかったのではないでしょうか。

これからも、キャリ魂塾は受験生の方の合格を支援してまいります!