このエントリーでは、D.コルブの「経験学習モデル」について解説しています。
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D.コルブの「経験学習モデル」
「経験学習モデル」とは、「人は実際の経験を通し、それを省察することでより深く学べる」という考え方です。
この、「経験学習モデル」を提唱したのが、アメリカの組織行動学者デービッド・コルブです。
経験学習モデルとは?
従来の「学習モデル」は、体系化・汎用化されたものを、受動的に「習う」というものでした。
例えば、「基本的人権」に「職業選択の自由」が含まれる。などですね。
それに対して、「経験学習モデル」は、学習者自らの「経験」によって、「学び(気づき)」を獲得していく「プロセス」を重視、体系化した学習モデルとされます。
具体的には、
「具体的経験」→→→「内省的観察」
↑ ↓
「能動的実験」←←←「抽象的概念化」
この4つのプロセス(サイクル)です。
もう少し詳しく見ていきます。
具体的経験とは?
具体的経験とは、いわば「事柄」です。
例えば日常業務の中で経験した「事柄」がありますよね。
これらについて、自分自身が体験した「事柄」を「具体的経験」として挙げます。
例:「シェパードに吠えられ、怖くて腰を抜かしてしまった」
内省的観察とは?
次に、「経験した事柄」をどう捉え、どのように行動したかを検討します。
これが「内省的観察」です。
この際に、自らに「質問」を行うことで「振り返り」となります。
例:「シェパードはなぜ自分に吠えたのか?自分はなぜ怖がった?」
抽象的概念化とは?
そして、抽象的概念化をします。
自らが経験した「事柄」を、抽象化することで、汎用性を高めます。
言い換えれば「本質」を掴むのがこのフェーズです。
「シェパード」が急に吠えてきて驚いた。
この「具体的経験」を「内省的観察」し、「次に『シェパードに吠えられたとき』、落ち着いて対応するにはどうしたらよいか?」を問いかけ、「シェパードの行動特性を学ぶ」という対応を思いついたとします。
しかし、「シェパード」にだけ対応するのでは、汎用性が低いし、問題の本質的解決とは言えません。
そこで「シェパード」を「犬」という「階層を一つ上げた概念で捉える」ことを考えるのも、一つの解です。
つまり、「犬」の行動特性を学ぶことで、より汎用性の高い対応力を身に着けるのが「抽象的概念化」です。
能動的実験とは?
「能動的実験」は、実際に試してみるステップです。
「犬」の行動特性として学んだスキルが、「シェパード」のみならず「ブルドック」や「柴犬」など、多くの犬種に対応できているかを試して確認をするんですね。
この能動的実験によって、次なる具体的経験が得られ、学びが深まることになります。
このサイクルを「自らで回す」ことができれば、それがイコール「般化」した「自律的行動」と言えます。
コルブの「経験学習モデル」で職務経歴書を書いてみる
例えば、職務経歴書を書く際にも、この「経験学習モデル」は非常に使える知識です。
なぜなら、「前職で得た遂行体験」が「転職先でも同じように再現できるかは分からない」からです。
なので、「内省的観察」を行ったうえで、「概念的抽象化」し、「能動的実験」まで進めることができれば、前職での遂行体験を「ポータビリティの高いスキル」に変換することができます。
これは、非常に役に立つので、ぜひトレーニングしてみてくださいね。