資格で理想のライフスタイルを実現する、キャリ魂塾のキャリ魂太郎です。


このエントリーでは、村上春樹の「ノルウェイの森」を題材に、発達課題の面からの考察とロジャーズ及び来談者中心療法批判を行っています。

ロジャーズの「人間は『十全に発達する』」を発達課題から検討する。

ロジャーズが主体性・創造性・自己実現といった、人間の肯定的側面を強調したことは、既にご存じのことかと思います。

そして彼は、来談者中心療法により、クライエントは「十全に発達」する、と主張しました。

この主張を、「発達課題」の観点から検討していきたいと思います。

人は『十全に発達する』とは限らない

養成講習など、多くの人が同じことを学んでいる中で、また講師のような中心的・指導者的な存在が指導を行っている中で、その学習内容に異議を唱えることは難しいものです。

ましてや、産業カウンセラー協会のように、試験免除などがあれば、なおのことでしょう。

なので、受験生の方には無理にとは言いません。

しかし、やはりこの「人は十全に発達するとは限らない」という「現実」について、合格者の方には考えて欲しいんですよね。

発達課題の達成が人の発達に影響する。

なぜ、「人は十全に発達するとは限らない」と言えるのか。

その理由は、「発達課題」にあります。

発達課題は、実は「クリアできないと、人は不幸になる(ことがある)。」とされます。

そう主張したのが、ほかならぬエリクソンやハヴィガーストです。

つまり、「発達課題がクリアできない」可能性がある以上、人は「十全に発達できず、不幸になる」こともありえるわけです。

もちろん、例えば子どもがいなくても、結婚しなくても、就職しなくても、幸せになることはできます。

私も39歳まで結婚しませんでしたが、別に不幸ではありませんでしたし、子どもはいませんが、子どもがいないことによる不幸は感じません。

あなたや、あなたの周囲の方が、例えば独身であったり、お子さんがいなかったとしても、幸せをつかむことは当然可能です。

しかし、やっぱり全員が全員、発達課題を達成せずに幸せを掴めるかというと、中にはそうではない人もいることは否めません。

それが、「ノルウェイの森」のヒロイン、直子であったり、その恋人のキズキ、そしてハツミさんといった登場人物なんです。

ノルウェイの森から、発達課題の未達成ケースを検討する。

またまた「ノルウェイの森」です。

「ノルウェイの森」では、発達課題を達成できなかった男女が数多く登場します。

その代表的な二人が、ヒロインの直子であり、その元恋人のキズキです。

二人の成長は、作中の言葉を借りれば

「とにかく私たちはそんな具合に成長してきたのよ、二人一組で手をとりあって。普通の成長期の子供たちが経験するような性の重圧とかエゴの膨張の苦しみみたいなものを殆ど経験することなくね」

出典:「ノルウェイの森」©村上春樹 講談社

「成長の辛さのようなものをね。私たちは支払うべきときに代価を支払わなかったから、そのつけが今まわってきてるのよ」

出典:「ノルウェイの森」©村上春樹 講談社

というものでした。

こういった言葉が、キズキと直子が「発達課題をクリアしなかった(回避した)」ことを表しています。

そして直子は、幼馴染のキズキが幼い頃からいつも傍に居たことで、世界中の誰よりも、心の底からキズキを愛しているのに、彼を異性(男性)として受け入れることができなかった。

ネタバレになるので、あまり詳細は述べませんが、結果、直子が「十全に発達する機会」は永遠に失われました。

カウンセラーでは、セラピストでは、医者では、決して直子を救えないんですね。

キズキを「異性として受け入れ、相互に補いながら発達する」ことでしか、彼女は救われない(以後の発達課題をクリアできない)から。

ロジャーズは、人間が十全に発達するという傾向を「信じているだけ」である。

いやいや、それは小説で、現実ではないから、現実と一緒にしないで、と言われるかもしれません。

いえいえ、「小説だから」、と言っちゃうのなら、当のロジャーズも同じなんです。

ロジャーズの人間観は「人間は自己実現に向かう有機体である」です。

それを「信じている」だけです。つまり空想、フィクションなんです。

そして、信じているだけ、空想しているだけですから、ロジャーズは自分の配偶者を傷つけたし、傷つけたことに気づかなかったのです。

彼は、自分の配偶者が、「発達課題が達成できておらず不幸である」ことに、恐らく彼女が亡くなるまで気づかなかった。

当時の女性の勤労観は私にはわかりませんので、キャリアに関する発達課題については触れません。

しかし、少なくともロジャーズの妻は、「(妻として)配偶者と人間として結び付くこと」という、ハヴィガーストが提示した中年期の発達課題は達成できませんでした。

だから、ロジャーズの妻は、十全に発達できずにいたと思われます。

カウンセラーであるにもかかわらず、それを放置していたのが、ほかならぬロジャーズです。

ロジャーズは、空想の世界に生きて、現実(配偶者)を顧みなかったばかりか、発達課題の未達成に苦しむ配偶者をさらに傷つけた。

これが、私がロジャーズを全面的には肯定できない理由です。

今まで、割と「何となく」ロジャーズに否定的だったのですが、ようやく腑に落ち、こうやって言語化もできました。

そして、「ノルウェイの森」を発達課題から読み解くことができたのも、キャリコン受験対策を仕事にし、色んな事例を検討したからです。

国語のテストでは、50分やそこらで教師の思う答えを出さなければいけませんが、「本の読み方」を知ると、一冊の本を20年楽しめます。

コスパの良い趣味ですね笑

村上春樹的キャリアコンサルティング解説は下記でもどうぞ。

ただ単に解説するよりも、やはり事例に当てはめるほうが定着も進むのではないでしょうか。

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