このエントリーでは、キャリ魂塾メルマガより、第15回国家資格キャリアコンサルタント面接試験(キャリアコンサルティング協議会を指定試験機関とするもの。以下全て同様)において出題された事例について、解説しています。
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第15回キャリコン面接出題事例:加藤さん

大学卒業後、地方銀行に入行し、60歳で定年退職、その後嘱託社員として再雇用され勤務した。
嘱託は3年契約であるため、63歳で退職となった。
その後無職で3か月以上仕事を探しているが、月20万円の仕事も見つからない。どうすればよいか
キャリ魂太郎の展開パート

希望の条件はありますか?年収とか。

そうですね…できれば400万円…

400万円で良いんですか?

そりゃ貰えるなら高い方が…

貰えるなら高い方が良いですよね。じゃあ500万?

そりゃ高い方が良いです。

500万でいいなら、800万だそうと思っている企業があっても500万でオファーがくるかもしれませんが、本当に500万でいいですか?

なるほど。

600万、700万、いかがですか?失礼ですが、現役時代は幾ら頂いていたんですか?【下線B】

現役時代は800万円です。

じゃあ800万円でいいんじゃないですか?スカウトが来なければ、そこから下げていけばよいので。
希望年収は「自己評価」である。
400万円という金額は「自己効力感の低さ」です。
それを「あなたには800万円の評価が付く」と、「リフレーム」「コンプリメント」「言語説得」しているのだから、「ラポール」と「自己効力感の向上」。
この2つの効果が生まれるのは当たり前。
私は「あなたにはその価値がある」と暗示しているわけです。
そしてその「800万円」には「根拠」があり、「事実」です。
私は、初めてこのCLを知ったときから、CLを「エグゼクティブ」「ハイスペック」とコンプリメントしながら応答しています。
あなたは、そう捉えましたか?
もしかして、みすぼらしい、貧相なしょぼくれた男性をイメージした人の方が多かったのではないでしょうか。
なぜなら、「就職できない」という言葉には、そういうネガティブなイメージを植え付ける力があるから。
そして、その自らの「内的照合枠(準拠枠)」に沿って、キャリアコンサルティングをしようとしませんでしたか?
それこそが養成講習で「指導」されていなければならない「内的照合枠(準拠枠)」=「偏見」だったのに。
論述試験設問2 下線Bとして考える
ではここで問題です。
「現役時代は幾ら頂いていたんですか?」
この応答について、新論述試験下線Bとして応答の意図を問われたら?
文末は「を意図したものである」があるものとします。
下線B解答
「相談者の現役時代の年収を確認し、1現役時代の金銭的評価情報を得る 2得られた情報から、相談者に現役時代と同様の金銭的評価が得られる可能性があることを伝え、コンプリメント、言語的説得として自己効力感の向上(を意図したものである)」
これで99文字です。
リソースを見出す姿勢とは
金融機関に40年勤務していたという「リソース」を最大限評価せず、「63歳で月20万円の就職もない」という相談者の自己評価に共感する。
そんなキャリアコンサルティングで、本当にクライエントに寄り添っていると言えますか?
相談者のリソースを見出し、最大限に評価し、キャリア形成を支援する。
それが本当に「クライエントを信じ、寄り添ったキャリアコンサルティング」です。