このエントリーでは、キャリアコンサルティング協議会の実施する、国家資格キャリアコンサルタント論述試験の解答作成について、基本的な考え方をご紹介しています。

論述試験解答作成の基礎知識その1:1行は45文字以上が目安

現在の論述試験では、1行は45文字以上が基本です。

45文字以上「書けない」そして「手が動かない」のは、言い換えればまだ合格に必要な「知識・スキルが不足している」ということ。

設問1で求められるのは、要約スキル

例えば、設問1で求められるのは「相談の概要」を記入するための「要約スキル」です。

要点を外さず、かつ簡潔に書けている「相談の概要」でなければ、引継ぎや記録の整理・分類の際に困ります。

また、こういった記録作成の時間が十分に取れるとは限りませんので、短時間で作成することも求められます。

設問1は、「事例検討や施設の運営、引継ぎに役立つ資料として、相談内容が把握できるように記載する、つまり読む人のことを考えた要約が短時間で書ける」かが問われるものです。

なので、ここでは本来「模範解答」は必要ありません。

自分自身で読み返して、「この内容で、読んだ人がクライエントをイメージできるか、資料として分類する際に分かりやすいか」を検討すればOKです。

幸いに、キャリコン論述試験では、文字数制限がありませんので、ある程度詳しく記載することができます。

下記の解答例を参考に、書き上げてみてくださいね。

問1解答例

相談者は役員秘書だったが、多忙のため結婚を機に退職、現在専業主婦。半年前から不妊治療を始めた。金銭的な負担から仕事をした方が、と思うものの、正社員以外の働き方の知識不足に加え、治療との両立や子どもができるか分からない等の不安がある。
116文字

問1解答例解説

相談者は①「役員秘書だったが、多忙」のため結婚を機に退職、現在専業主婦。半年前から不妊治療を始めた。②「金銭的な負担から仕事をした方が」、と思うものの、③「正社員以外の働き方の知識不足に加え、治療との両立や子どもができるか分からない」等の④「不安」がある。

①役員秘書だったが、多忙
➡役員秘書(正社員)時代、多忙であったことが現在の正社員イメージに影響した結果、両立への不安に繋がっているため記載

②金銭的な負担から仕事をした方が
➡仕事を探す動機として重要であるため記載

③正社員以外の働き方の知識不足に加え、治療との両立や子どもができるか分からない
➡④の感情が生まれている原因

④不安
➡どのような感情が生じているのか、来所の原因となった感情であるため記載

いかがでしょうか。

論述は常に「読む人のことを考えて分かりやすく書く」ことをお伝えしています。

もちろん、「相談者は現在専業主婦」と「現在」から書きだしても良いのですが、文字数制限自体はありませんので、現在の不安が「正社員時代の働き方のイメージを引きずっている」ことによって生じている点を示唆する文言を加えた方が、実際に面接を担当した者の考え(所見)が伝わるのではないかと考えました。

問2で求められるのは「技法」の理解

問2は、基本的には技法の理解、つまり技法を使いこなすことができるか、また一つの応答からどのような技法の使用を検討することができるかが問われているように感じます。

ただ、第16回論述試験ではこの問2が、一番の難問だったかもしれません。

それは、2行(100文字前後)で記載するには、情報が少ないからです。

下線Bの応答のすぐ後が、「略」とされているため、クライエントの応答から併せて判断するということができないんですよね。

今回の問2を端的に書いてしまえば、「クライエントが問題と感じている点について、深堀りを行い、より詳細に把握することを意図した」程度になってしまいます。

これでは、わずか45文字。与えられた行数(=非言語コミュニケーション)から考えると、少々物足りないと感じてしまいます。

なので、もう少し広範に捉えてみます。

問2解答例

クライエントが、「以前のようには働けない」と感じたのはなぜか、言語化・深堀りを試みることで、①クライエントがより詳細に問題を把握したり、感情に気づくこと②キャリアコンサルタント側もそれらを共有することの2点を意図した。

これで109文字です。クライエントを「相談者」と書けば、文字数を節約できますし、CLやCCと書いても恐らく減点はされない可能性が高いため、50文字/行程度で十分書き上げられますね。

応答の意図を常に考えるクセをつけよう

キャリ魂塾では、解決志向キャリアコンサルティング勉強会などで、参加されている方に逐語録の作成と、「クライエントの応答のポイント」そして「キャリアコンサルタントの応答の意図」を記載するようにお伝えしています。

これは、意図した応答を行わなければ、堂々巡りや行き当たりばったりの面接になってしまいがちだからです。

例えば、「あなたは、正社員だったんですね」「秘書として多忙だったんですね」「今はお仕事を探されているんですね」と「相手の話したことを伝え返している」のは、何を意図しているでしょう。

「おうむ返しによるラポール構築」…とは限りません。

YESセットを形成している場合もあります。

技法は、意識(意図)して使わなければ、身に着かないし、使えるようにはなりません。

例えば「窓を閉めて」と直接的に伝えるよりも、抵抗が生じにくい伝え方を考えてみる。

あなたなら、どのように伝えますか?

普段から、どのような応答をすれば、どのような反応(応答)が生じるか、ぜひ考えてみてくださいね。

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それは、論述試験の単なる「模範解答」ではなく、「7割を獲りに行くメソッド」として、また面接試験にも共通して使える「一粒で2度美味しい」メソッドでもあります。

論述試験対策に悩まれている方は、ご検討頂けましたら幸いです。