キャリ魂太郎です。

このエントリーでは、「キャリアコンサルタントの守秘義務とタラソフ判決」について、解説しています。

キャリアコンサルタントの守秘義務はもっと深い。

キャリアコンサルタントの守秘義務の履行は、実際には想像よりはるかに厳しく求められる可能性があります。

なぜなら、守秘義務とは当然、「口外しなければ良い」というものではないし、どんなときに守秘義務が解除され、解除された場合には、何をするべきかをもっと考える必要があるからです。

キャリアコンサルタント倫理綱領では、

(守秘義務)第5条 キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを通じて、職務上知り得た事実、資料、情報について守秘義務を負う。但し、身体・生命の危険が察知される場合、又は法律に定めのある場合等は、この限りではない。

出典:キャリアコンサルタント倫理綱領

と述べられていますが、実際に問題が起きた場合は、タラソフ判決に基づく対応が求められる可能性があります。

タラソフ判決とは。

タラソフ判決とは、1976年にアメリカで出された判決です。

この判決のもとになった事件をタラソフ事件といいます。

この事件は、ポダーという男性が、精神科に通院しており、主治医に対して「タラソフという女性を殺す」と伝えたのですが、ポダーの主治医は守秘義務があると考え、これをタラソフさんやその家族、関係者に伝えませんでした。

そして、実際にポダーはタラソフさんを殺害したのです。

タラソフさんの遺族は、ポダーの口から殺害を予告されていたにもかかわらず、それを守秘義務を理由として口外しなかった主治医を訴えました。

これをタラソフ事件といい、このタラソフ事件の裁判の判決を「タラソフ判決」といいます。

タラソフ判決により守秘義務の内容が規定された。

タラソフ判決では、守秘義務があったとしても、専門家が果たすべき義務として、以下の義務を示しました。

タラソフ判決で示された警告義務

1.犠牲者となりうる人に対して、その危険について警告する。
2.犠牲者となりうる人に対して、危険を知らせることができる人々(家族や友人など)にも警告する。
3.警察に通報する。
4.その他、その状況下で合理的に必要と判断される方法を、どのような方法であっても実行する。

このタラソフ判決が1976年です。

その後、警告だけではなく、被害を受ける可能性のある人への保護まで求められるように変化し、現在では犠牲者(被害者)となりうる可能性がある人を保護する義務(「保護義務」)となりました。

タラソフ判決後の保護義務

保護義務が発生すると考えられるのは

1.当事者間に特別の信頼に裏付けられた関係が存在する。
2.犠牲者となりうる人が特定できる。
3.明確かつ切迫した危険の存在

がある状況とされています。

これは、キャリアコンサルタント養成講座及びキャリアコンサルタント試験では一切触れませんが、「守秘義務の解除」という観点だけではなく、「警察その他への通報」そして「犠牲者(被害者)となりうる人の保護」まで行わなければ、キャリアコンサルタントが責任を問われる可能性があります。

なぜならば、キャリアコンサルタントは「国家資格者」だからです。

民間の心理カウンセラーやキャリアカウンセラーよりも、高いレベルで職責を果たすことが求められる可能性があります。

守秘義務の解除には根拠が必要

そして、こういった状況になったとき、自らが守秘義務を解除し、警告・通報・保護といった義務を果たすためには、「その義務を果たさなければならないと感じた根拠」つまり逐語記録や面談の録音記録が必要となります。

私が常々「メモは取って当たり前」と言っている理由が、ここからもお分かりいただけるでしょう。
メモを取らなくて良いと教える講座が、もしまだあるとすれば、あまりにも軽薄すぎます。

面接試験を受験された方、メモを取れない状況ですが、面接試験終了後、逐語記録を作れましたか?

作れるはずがありませんよね。

そんな記憶力のある方は、おそらく10,000人に1人もいませんから。

最低限、メモがなければまともな逐語記録など作れませんし、きちんとした逐語記録を作ろうと思えば、面談の録音が必須なのです。

そして、メモによる情報共有や、音声記録がなければ、言った言わないのトラブルにさえ巻き込まれる可能性があるのです。

メモを取ること
録音すること

が問題なのではなく、そういったことをクライエントに伝えられないような、それだけのラポールしか作れていないことが問題なのです。

実務では、メモを取るのは当たり前。

できれば、録音もできるような、高いラポールを作れるようにしておくのがベストでしょう。

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