資格で理想のライフスタイルを実現する、キャリ魂塾のキャリ魂太郎です。


このエントリーでは、V.E.フランクル「夜と霧」における、「無期限の暫定的存在において未来を失う」という状態と、この状態をどう乗り越えるかについて、考察をしています。

V.E.フランクルと「無期限の暫定的存在において未来を失う」とは

キャリアコンサルタント学科試験で、時折出題される、はぐれメタルとまでは行かないけれど、ドラキーやマドハンドほど頻繁には目にしない。

そう、いわばメタルスライムのような存在。

それが、V.E.フランクルです。

学科試験対策で言えば、わずかに12文字。

フランクル
実存主義
夜と霧

たったこれだけの存在であり、レヴィンソンやスーパー、ホランド、ロジャーズ…

そういった頻出論点とは言えません。

しかし、彼はロジャーズも経験したことのない極限状態を経験し、その極限状態から生還した男なんです。

その彼が置かれた「極限状態」こそ、かの「ナチスドイツ」による「アウシュビッツ」などの「強制収容所」でした。

「無期限の暫定的存在において未来を失う」とは

この強制収容所に収容された、囚人たちは、いつ解放されるか分かりません。

そもそも何らかの罪を犯したわけではないので、犯罪者ですらないのです。

その上、ナチスドイツによる過酷な強制労働に従事させられ、一日に出される食事は「一かけらのパン」と「水のようなスープ」。

繰り返しになりますが、「いつ解放されるか分からない」日々。

このような極限状態で、死の足音に怯えながら毎日を暮らすのですから、収容された人々が肉体だけでなく精神まで病んでいくのは当然でした。

これが、フランクルや多くの囚人が置かれた「無期限の暫定的」状態です。

「無期限の暫定的状態」に置かれると、人はどうなるのか。

・いつ終わるとも知れない
・特殊な状況

これが「無期限の暫定的」状況です。

ここに置かれた囚人を、フランクルは「無期限の暫定的存在」としました。

そして、この「無期限の暫定的存在」は、この強制収容所の囚人だけを指すのではありません。

いつ終わるのか、先の見えない「50代の転職活動」
未成年であるがゆえに、逃げられない「両親からの虐待」

そして

今、まさに私たちが置かれている「未知のウィルスへの感染恐怖」

こういった「無期限の暫定的存在」となったとき、人はどうなるのか。

フランクルは、この「無期限の暫定的存在」となった人々は、

1.自分の状況を真摯に受け止めることができなくなる。
2.現在、自分の身に起こっている出来事は、本来の人生とは異なるものである。

このように考えるようになるとしています。

3つの心の反応段階

フランクルは、強制収容所に送られた囚人の心的反応を、下記の3つの段階に分けました。

第1段階:施設に収容される段階
第2段階:収容所生活そのものの段階
第3段階:収容所からの出所ないし解放の段階

第1段階:施設に収容される段階

人間は、突然の苦難に遭遇したとき、その苦難を受け入れることができません。

そして、その苦難を比較的「楽観的に」考えようとします。

例えば、

「自分がコロナに感染した?まさか。まあでも治った人もたくさんいるし、自分も治るだろう」

そういう状態です。

「うつ」などのメンタル不全でも、この心的状態が多くみられるとされます。

第2段階:収容所生活そのものの段階

「この苦難に際して、自分が出来ることはもう何もない」

そう理解したとき、第2段階に移行します。

何かを考えたり、感じたりすることが億劫になったり、何も考えたくなくなる。

また、1日1日を生きることで必死になる。

何も考えず、感じない。

無機物のように日々を送ることで、その苦難を耐えるようになります。

第3段階:収容所からの出所(解放)段階

先の見えない日々、希望を感じられない毎日。

そんな毎日がようやく終わる。

しかし、この「解放感」が曲者です。

今まで抑圧されていたため、まるで「あの苦しみから解放されたのだから、もう何でも自由にしていいんだ」と思ったりすることもあります。

結果、周りとうまく行かなくなってしまったり…

この「解放」段階でも、しっかりとしたケアが必要になります。

無期限の暫定的存在の過ごし方

無期限の暫定的存在は、主に第1、第2段階です。

この状態では、多くの人が2つの生き方を選択します。

それが

1.未来の楽観的イメージを持つこと
2.「無期限の暫定的存在」である自分自身に価値を見出すこと

です。

フランクルは、「1.未来の楽観的イメージを持つこと」には、大きなリスクがあるとします。

例えば、「いつか解放されたら、みんなの前でこの経験の苦しさを語ろう。きっと大儲けできるぞ」そう希望を持ち続ける。

しかし、解放される保証などありません。

日々の極限状態が、いつしか精神を侵食し、絶望が希望に勝ったとき、人は死を選ぶ。

このリスクを避けるため、フランクルは「2.「無期限の暫定的存在」である自分自身に価値を見出すこと」を拠り所とすべきだと説きます。

どれだけ辛くとも、そして苦しくとも、悲惨であろうとも、それが運命であろうとも、このたった一人の「自分自身の存在」に価値を見出す。

この在り方が重要であると訴えたのです。

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