このエントリーでは、キャリアコンサルタント学科試験対策として、今後重要になると考えられる発達障害についての定義、そして学習障害、注意欠陥多動性障害について解説しています。

なお、法令上は全て「発達障害」と記載されるため、このエントリーでも「発達障害」と記載しています。

発達障害:定義その他概要

発達障害は、発達障害者支援法及び施行細則によって、定義されています。

この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。

発達障害者支援法

この「政令で定めるもの」が、発達障害者支援法施行細則によって、下記のように定義されており、一見ややこしい構成になっています。

心理的発達の障害並びに行動及び情緒の障害(自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、言語の障害及び協調運動の障害を除く。)とする。

発達障害者支援法施行細則

この条文自体も、なんだかややこしいですね。

「発達障害者支援法施行細則」だけを読むと、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、言語の障害及び協調運動の障害を除く。」と読んでしまうかもしれませんが、これはそのように読む(理解する)のではありません。

①心理的発達の障害
②行動及び情緒の障害

という2つの障害が「並びに」で連結されており、カッコ書きの「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、言語の障害及び協調運動の障害を除く。」は、「②行動及び情緒の障害」のみに掛かります。

つまり、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、言語の障害及び協調運動の障害」は、①の「心理的発達の障害」に含まれますので、②の「行動及び情緒の障害」からは除かれることになります。

文章構成としては【①並びに(②<~除く>)】となります。

蛇足ですが、この「心理的発達の障害」と「行動及び情緒の障害」という文言は、ICD-10に基づいています。(17文科初第16号厚生労働省発障第0401008号)

発達障害:4つの特徴

発達障害は、下記の4つの特徴を持ちます。

1.高次脳機能の習得障害である。
➡脳の中枢神経の機能障害であり、本人の責任でも、家庭環境の問題でもない。

2.非進行性である。
➡非進行性とは、「良くも悪くもならない」ということ。但し、加齢によって問題が変化することはある。

3.発達期に生じる。
➡発達期である18歳までに現れる。

4.日常生活や社会生活において対応を必要とする問題がある。
➡日常生活・社会生活に問題が無いレベルであれば、発達障害とはならない。

学習障害

学習障害(限局性学習症、LD)は、知的能力には遅れがないにもかかわらず(IQ70~75以上)、読み書き能力や計算力などの算数能力といった学習上の特定の分野において、1つ以上の得意な困難さを持っている状態です。

注意欠陥/多動性障害

注意欠陥/多動性障害(ADHD)については、年齢あるいは発達に不相応に、不注意、落ちつきのなさ、衝動性などの問題が、生活や学業に悪影響を及ぼしており、その状態が6ヶ月以上持続していることと定義されています。

なお、アメリカ精神医学会(APA)のDSM-5(「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版」)には、下記などの条件が全て満たされたときにADHDと診断されると述べられています。

1.「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど)」と「多動-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)」が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること

2.症状のいくつかが12歳以前より認められること

3.2つ以上の状況において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障害となっていること

4.発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること

5.その症状が、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと

e-ヘルスネット

障がい者雇用とキャリアコンサルタント

ハンセンのILP理論における「キルト」の概念などに代表されるように、社会が多様性を保ちながら、お互いの特性を尊重し、それぞれの能力を発揮できる場が求められています。

しかしながら、発達障害については、一般的には非常に誤解されたまま、言葉だけが広まってしまい、更に生きづらさが増していることは否めません。

こういった誤解を払拭していくこと、そして高齢の方や子育て中の方、障がいを持った方や病気療養中の方など、様々な事情で働きづらさを抱えている方の支援ができることも、キャリアコンサルタントの担う重要な役割です。

また、「キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」(独立行政法人労働政策研究・研修機構、2018年)においても、直近1年間の個人面談で対応が最も難しいと感じた相談として挙げられた内容のうち、最も多かったのは「発達障害に関すること」であったことが述べられており、第14回学科試験で出題されています。

本エントリーで記載したような事項まで問われる可能性も、今後は高まってくると思われますので、キャリアの専門職として、しっかりと押さえておくことをお願い致します。

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