キャリア「コンサルタント」やキャリア「コンサルティング」という名称ですが、現実には、「カウンセリング」理論や「傾聴」技法を学ぶことがほとんど、という不思議な資格。

それが「キャリアコンサルタント」です。

なので、「コンサルティング」と言っても、何をすることを「コンサルティング」と呼ぶのか、その定義もお手持ちのテキストには載っていないことがほとんどではないでしょうか(カウンセリングや傾聴、コーチングについては定義が掲載されていることが多いと思います)。

なので、改めて「コンサルティング」について、少し触れてみたいと思います。

「コンサルティング」とは包括的「支援サービス」である

あなたのお手持ちの養成講習テキストには、「キャリアコンサルティング」についての法律上の定義が掲載されているはずですが、おそらく「コンサルティング」そのものの定義は掲載されていないと思います。

それは、これまで「コンサルティング」と言えば、暗黙的に『経営』コンサルティングを意味することが多く、いわゆる「キャリア」に関するコンサルティングというものが想定されていなかったからかもしれません。

とはいえ、「コンサルティング」の定義を知っておくことはプラスになるかと思いますので、2つほどご紹介しておきます。

フリッツ・スチールによれば、「コンサルティング」とは、下記のように定義されています。

「コンサルティングとは、ある業務または一連の業務の内容、プロセスないし構成について、形式を問わず助力を提供することであり、その場合、コンサルタントは業務それ自体の遂行に責任はなく、実際の責任者を助力しているというものである」

(引用:経営コンサルティング 第4版 生産性出版)

そして同じく「経営コンサルティング」では、「コンサルタントが助力者でもあったり、助けて成し遂げさせる人(エネンブラー)であり」、組織内においても、「指示や命令に代えて、アドバイスや助力を提供する気にさえなったら、コンサルタントになり得る」とも述べられています。

また、コンサルティングを専門職業的サービスと見れば、ラリー・グレイナーとロバート・メッツガーが下記のように述べています。

「専門教育を受けた適格者が組織と契約して提供するアドバイザリーサービス、これが経営コンサルティングであり、クライアントの組織に対しては客観的、かつ独立した方法により経営管理上の問題の発見を助力し、その分析、問題解決策の提言、さらに要請があれば解決策の実施助力を行うものである」

(引用:経営コンサルティング 第4版 生産性出版)

これらの定義の「組織的」な言葉を、個人に言い換えても、特に違和感はありません。

例えば

「専門教育を受けた適格者が『組織や個人』と契約して提供する、『キャリア』に関するアドバイザリーサービス、これが『キャリア』コンサルティングであり…」と定義することは可能です。

このように、「(経営)コンサルティングとは、アドバイスによるサポート」であることが、中心になりうるものでした。

しかし、この「経営コンサルティング第4版」が刊行されてから早16年が経過し、金字塔的書籍でありながらも、若干の古さがあります。

今やコンサルティングは、アドバイザリー以上の「包括的支援サービス」となっているからです。

キャリアコンサルタントは「幅広い関わり方」をする。

言葉遊びをするわけではありませんが、

・セラピスト
・カウンセラー
・コンサルタント
・コーチ
・アドバイザー

これらは全て「相談主体(個人又は組織)との『関わり方(アプローチ)』」の違いです。

その中で、「コンサルタント」が最も幅広い関わり方をします。

既にご紹介しましたが、キャリ魂塾(合同会社インクルーシブ)による、キャリアコンサルタント能力体系が下記の図です。

このように、コンサルティングとは、「カウンセリング的」なアプローチから、コーチング的なアプローチまで含むアプローチであり、最も包括的な概念です。

キャリア「カウンセラー」ではなく、キャリア「コンサルタント」になった理由

「キャリアコンサルタント」という名称になった経緯の一つとして、「キャリア『カウンセラー』」では、「メンタル不調の人が相談する」という印象を与えることが懸念されたとも言われています。

それも確かに分かりますが、もともと「コンサルティング」「コンサルタント」は、「カウンセリング的」なアプローチから「コーチ的」なアプローチまで、広範に含む概念なんですね。

その中で、あなたが「カウンセラー」として進みたいのか、「コーチ」でありたいのかを選ぶこともできるし、クライエントに合わせて柔軟に自らのアプローチ法を変えることもできます。

「コンサルティング」とは、「カウンセリング」だけ、「コーチング」だけではない、様々な支援アプローチの総称なんですね。

なお「経営コンサルティング 第4版」は、私が今年買った書籍の中で、今のところ最もおススメの一冊です。

合格者の方は是非読んでみて下さい(受験生の方は、まずは合格を目標にしましょう!)。

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