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このエントリーでは、「指導・助言」が必要になる状況として、グレゴリー・ベイトソンのダブルバインド理論が該当する状況に陥っているケースを挙げています。
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指導・助言ができないキャリアコンサルタントが6割
キャリアコンサルタント業界は、国家資格化前の「聴くだけ」アプローチに傾倒していた時代が長く、4万人のキャリアコンサルタントがいるとはいえ、体感的には半数以上、約6割くらいの方が「聴く」ことに偏重した面談を「しなければならない」と思い込んでいます。
しかし、実際には
・法律に定められた職業能力開発に関する「指導・助言」
・対人援助の専門家としての「助言・指導」
この2つが必要です。
そして、後者の1つが、クライエントやその関係者が、グレゴリー・ベイトソンの「ダブルバインド理論」に該当する状況に陥っているケースです。
グレゴリー・ベイトソンのダブルバインド理論とは
キャリアコンサルタント養成講習テキストには未掲載であることが多い、グレゴリー・ベイトソンのダブルバインド理論ですが、その理論の要点は下記の通りです。
ダブルバインド・セオリー(double bind theory)
1956年にグレゴリー・ベイトソンによって発表された説である。家族内のコミュニケーションがダブルバインド・パターンであると、その状況におかれた人が統合失調症に似た症状を示すようになる、と指摘する説である。
(引用:wikipedia ダブルバインド)
つまり、クライエントが話した状況が、ダブルバインド理論に該当する状況であれば、統合失調症に陥る可能性があるため、例えば医療機関へのリファーなどを含めた「指導・助言」が必要になります。
ダブルバインドな状況とは
ダブルバインド理論が適用される状況は、下記のように説明されています。
2人以上の人間の間で
繰り返し経験され
最初に否定的な命令=メッセージが出され
次にそれとは矛盾する第二の否定的な命令=メタメッセージが、異なる水準で出される
そして第三の命令はその矛盾する事態から逃げ出してはならないというものであり
ついにこのような矛盾した形世界が成立しているとして全体をみるようになる
という状態をいう。わかりやすく喩えると、親が子供に「おいで」と(言語的に)言っておきながら、いざ子供が近寄ってくると逆にどんと突き飛ばしてしまう(非言語的であり、最初の命令とは階層が異なるため、矛盾をそれと気がつきにくい)。呼ばれてそれを無視すると怒られ、近寄っていっても拒絶される。子は次第にその矛盾から逃げられなくなり疑心暗鬼となり、家庭外に出てもそのような世界であると認識し別の他人に対しても同じように接してしまうようになる。
そして以下のような症状が現れる、とした。
言葉に表されていない意味にばかり偏執する(妄想型)
言葉の文字通りの意味にしか反応しなくなる(破瓜型:はかがた)
コミュニケーションそのものから逃避する(緊張型)
(引用:wikipedia ダブルバインド)
このように、ダブルバインドな状況とは、対象者(相談者とは限らない)に禁止命令が提示されているにもかかわらず、同時にそれと矛盾するメタ的な禁止命令も提示されており、なおかつ対象者がその矛盾した命令から逃れられない状況を指します。
ベイトソンは、この状況に晒され続けた人は、統合失調症になると主張したわけですね。
例えば、
「ヤル気がないなら(もう止めて)帰れ」という禁止命令
➡「ヤル気があると認められるまで帰るな」
「残業をするな」という禁止命令
➡「残業をしたのと同レベルの成果を上げろ」
このように、禁止命令と矛盾する命令(暗黙の指示)が発せられていることは非常に多いですよね。
そして、例えば前者のケースでは、対象者が特待生だったりする。
後者なら、住宅ローンがあったりする。
命令を受けている対象者が、こういった「容易に逃れられない状況」であるとき、この「ダブルバインドな状況」そのものが、対象者の精神に悪影響を及ぼすわけです。
「聴くだけ」ではダブルバインド状況を悪化させる可能性がある
そして、このダブルバインド状況下の当事者がクライエントであった場合、これを「聴くだけ」でどうにかしようというのは、まさに愚の骨頂です。
だって、クライエント本人にとっては、「逃れられない」状況なので、例えば「もっと頑張ろう」としてしまうのですから。
必要なのは、今の状況の危険性を伝えること、そして可能であれば、環境介入やリファーなどの「指導・助言」を行う。
これが、ダブルバインドな状況下に置かれているクライエントや、その関係者への必要なアプローチなんですね。
「聴くだけ」が問題を悪化させることがある。
国家資格者、対人援助の専門家であれば知っておくべきだし、こういった理論を知らないことによって、損害賠償などの責任を問われる可能性もあるかもしれません。
なので、あなたは知っておいて下さいね。